なぜ空想地図を描くのか

おままごとと似ている

「なぜ空想地図を描き始めたのか?」という質問は、最も多くいただく質問です。しかし、無意識に始めているため、私自身もよくわかりません。誰かに影響される訳でもなく、一人で試行錯誤する遊びとして始まります。これは他の多くの人も同様と思われます。子供の頃迷路を描いた経験がある人に、描く対象として迷路を選んだ経緯を聞かれても、おそらくうまく答えられないでしょう。それと似ています。しかし強いて言えば、これはおままごとと似ています。

おままごとは幼少期の遊びですが、花屋や家族等、身近なモチーフを再現します。おままごとに限らず、小学校の算数も、かずのブロック(算数ブロックとも言われる)と言われる直方体のセットが使われ、1つ1つの直方体をくっつけたり離したりすることで、足し算や引き算を手で再現します。手で再現して実感する学習法は、学習に手間と時間はかかりますが、実感をもって覚えます。中学生にもなると、多くの内容を吸収するため、手で再現するようなアウトプットの過程の手間と時間を省き、インプットだけで知識を入れていく学習法に変わります。そもそも大人は、花屋や家族の様子について、図の左下のような状態だと聞くだけで理解し、わざわざ手や体で再現することはありません。

地図についても、都市の日常を映した絵です。都市に住んでいれば都市の日常は身近なもので、それは身振り手振りでは再現できません。そして幼少期から地図を見ていると、地図という表現手段は身近なものでした。古い街の様子やビジネス街の様子も、左下の様子は、大人なら聞けば分かります。そこを衝動的にアウトプットしたい・・・そこで、空想地図は生まれるのではないか、と推測しています。

何気なく行くことで味わう、その土地の雰囲気について…それは一体何があるとそうなのか、どのようにしてできているのか、周囲はどうなっているのか・・・その興味を、地図を描きながら突き詰めて行くのが、空想地図と言えましょう。